終わりのないストーリー

 

 

 

 

代償

 

 

 

 

私は

一度死んでいる

いや、今も死んでいると言ったほうが正しいかもしれない

私は

自分を犠牲にする代わりに彼を助けに戻ってきた

 

 

『お願いです。もう一度戻らせてください。

もし戻ることが出来るなら・・・私は・・・

私はどうなっても構いません。

彼を救うことが出来るなら。

私はどうなっても構いません。』

 

『本当にどうなっても構わないのですか?』

 

『はい。一度は死んだこの体。

何も惜しむことはありません』

 

『そう言うのなら叶えましょう。しかしその代償は大きい』

 

『大丈夫です』

 

『では、あなたにもう一度命を吹き込みましょう』

 

『ありがとうございます』

 

『しかし、彼が記憶を取り戻し、彼を助け出すことが出来たら・・・

あなたの望みが叶ったら・・・』

 

『どうなっても構いません。』

 

『いいのですか?あなたは・・・』

 

『・・・はい』

 

『あなたは』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、今日はシリウスには逢えなかった。

というより森に入らなかった。

 

あの時が何を考えていたのか。

の瞳に何が映っていたのか。

僕には分からない。

 

ただ・・一瞬のの表情が気になる。

 

 

『記憶を取り戻してくれて嬉しくないのかい?』

『嬉しいですよ・・・ただ・・』

 

あの時一瞬、の表情が曇った。

は何かを隠している?

 

 

 

 

 

 

 

 

シリウス

あなたに逢いたいわ

あなたに逢って、昔の記憶、私のこと、思い出して欲しいの。

だけど

シリウスが記憶を取り戻したら

私は

 

 

―消える―

 

 

 

あの時、こちらに戻る条件として課せられたもの。

 

シリウスを今の現状から救うことが出来たら

 

 

私は消える

私は二度とこの世に戻れなくなる

私は生まれ変わることすらできない

もしかしたら存在すら、

消えるかもしれない

 

最初はよかった、それでも

だけどシリウスの顔を見たら

そんなの耐えれくなった

躊躇してしまう

これから先もシリウスと共に歩みたいなんて思ってしまう自分がいる

 

私はこれから先どうすればいいのだろう・・・。

 

 

★いいわけ★
シリウスさん登場しないまま終わってしまうかもしれないこの話。
とにかく暗ーい話しだってことは言えます。