耳に残るは君の歌声
「じゃあ、今日の授業はここまで。
今日やったことを羊皮紙にまとめて提出するように。」
そういうと生徒達はざわざわしながら教室から出て行った。
ちゃんと分かり易く教えれてたらいいんだけど・・・
授業が終わる度、いつもそう思う。
今日はもうこれで授業はない。
夕食まで何をやろうか。
レポートのチェックも終わったし。
部屋でお茶でもしていようか、そういえばハニーデュークスのチョコが残っていたな。
そんなことを考えながら自室に入る。
とりあえずソファに座る。
途端に眠気が襲ってきた。
そういえば最近あまり寝ていなかった。
夕食まで時間があるから少し寝よう、と思いソファに体を預ける。
『えっと、君・・どこから来たの?家はどこ?』
『ごめんなさい。英語よく分からないからもうちょっとゆっくり話して?』
『あぁ、ごめん。えっと・・君はどこから来たの?』
『日本』
『へぇ・・今歌っていたのはなんていう曲?君の国の曲?』
『タイトルはないわ。私が作った曲。歌詞は母国語・・日本語よ』
『ホントに?すごいなぁ!いい曲だよ!歌詞の意味はわからないけれど(笑)』
『ありがとう(笑)』
『歌詞はどういう意味なの?』
『あのね、離れていてもまたいつか何らかの形できっと逢えるよって歌なの』
『また歌ってくれない?』
『いいわよ』
そういうと少女はまたあの綺麗な歌声で歌いだした。
『僕はリーマス・ルーピン。君は?』
『私は、 』
『明日も逢える?』
『明日、日本に帰るの』
『そっか・・・。僕達、また逢えるかな?』
『あなたが私を忘れないで、私もあなたを忘れなければ、きっと逢えるわ』
がた。
「ぅわっ!」
情けないながらもソファから落ちた。
「ゆ・・め?」
昔の夢を見た。
そういえば幼い頃、日本という所からきた女の子に逢ったな。
名前は確か・・・・
どういうわけか名前だけは思い出せない。
あの夢を見てから少女のことで頭がいっぱいになった。
もう一度、逢いたい。
あれから20年近く経っている。
彼女は今、どこで何をしているだろう。
母国にいるのだろうか。
それともまたこちらに?
結婚して子供を産んで母親をしているのだろうか。