〜ジェームズさんの場合〜

 

 

「ジェームズ遅〜い!!レディを待たせるなんてどうつもりかしら?」

 

が少し頬を膨らませて言うとジェームズはほんとに申し訳なさそうにごめんといった。

その様子を見てがぷっと吹き出す。

「うそうそ!怒ってないから!!せっかく久々に逢えたんだもの許すわvv」

「ほんとにごめんよ。出掛け際にリリーが産気づいてね・・・」

ジェームズが言うとはハッとした。

「そっかぁ・・・!!!リリー、おめでただもんねぇ!今何ヶ月?」

ジェームズは3本の指をの顔の前に突き立ててにっこりとした。

「三ヶ月かぁ〜!」

 

親友のおめでた。

自然と頬が緩んで優しい気持ちになる。

 

「名前は?もう決めたの??」

そう言うとジェームズは笑って言った。

、気が早すぎるよ!まだ三ヶ月なのに(笑)」

「え〜!?でもジェームズのことだからもう決めてると思ったのにぃー。」

「名前はね、シリウスに頼んだんだ。」

 

―シリウスならいい名前付けてくれるよ。―

 

ジェームズは微笑みながらそう付け加えた。

その笑顔が学生時代と変わらずかっこよくてはちょっと顔を赤らめた。

 

それにしても・・・

「ジェームズももうパパだねぇ。どうよ?父親になった気分は?」

がクスクスと微笑みながら問い掛ける。

ジェームズは苦笑しながら言った。

「まだ実感がわかないよ。でもね。リリーを守ろうっていう気持ちが前以上に大きくなった。
子供が生まれたら絶対幸せにしてやろうって。リリーも生まれてくる子も。
世界で一番幸せにしてやろうって思ってるよ。」

そう言うと、ジェームズはほんとに幸せそうな顔を称えた。

その顔に、つられても顔が緩む。

「大丈夫。あなたならできるわ。」

そうかな?

少し照れながらジェームズが言う。

に言われると、ほんとに出来る気がするよ。・・・ありがとう」

2人で微笑み合う。

「それよりはどうなんだよ?近況を報告したまえ!!」

ねぇ、その口調は何?

苦笑いしながらが言う。

「私は相変わらず独り身よ。」

「うわっ!寂しい奴だなぁ(笑)彼氏は?」

ジェームズが驚いて目を見開く。

その反応にがむっとする。

「何よ、ジェームズ。文句ある?」

機嫌悪そうに言ってみるとジェームズは慌てて『ない!ないです!ごめんなさい!』といった。

は不機嫌そうにカフェモカを軽く口に含んだ。

「ねぇ、。まさか君まだ・・・『愛しの君』のことが?」

はこくんと小さくうなずいた。

『愛しの君』

私の好きな人の通称。

「なんでだろぉ。卒業してもまだあの人のことが頭から離れないのよ。・・叶うはずないのにね」

(だってその人・・・)

軽く、そして寂しそうに笑いながらは言った。

「そんなこと!・・そんなことわからないよ。頑張ってみなよ!
僕にはその『愛しの君』が誰だかわからないけどならきっと大丈夫だよ!」

「そうかなぁ・・・」

ジェームズはそうだよと頷きながらいつの間にか頼んだコーヒーを啜っている。

その姿にが驚いた。

「ジェームズ。あなたいつの間にコーヒー飲めるようになったの?苦手だったじゃない。」

そう。

ジェームズは昔コーヒーが飲めなかった。

それをよくシリウスと一緒に「ガキだなぁ〜(笑)」と言ってからかったものだ。

「最近ね、飲めるようになったんだ。この苦さがたまらなく美味しいよv」

そう言うとまたコーヒーを一口啜った。

「なんか…知らない間に変わっちゃったね・・。ちょっと逢わなかった間にさ。」

が淋しそうに笑った。

そのの表情を見てジェームズが言った。

「人間だからさ、変わっていくのは仕方ないよ。だけどどんなに変わっても、僕はずっと君の親友だよ?
はそう思ってはくれないのかい?」

はフルフルと頭を振った。

「ただ、私は何も変わってないから。なんか・・置いてかれた気分になって(苦笑)」

?君は自分自身が気づいてないだけでとても変わったよ。とても・・・綺麗になった。」

ジェームズがそう言うとは照れて「そう?」と言った。

お世辞でも嬉しかった。

「だから、思い切って相手に気持ちをぶつけてみなよ。君ならきっと大丈夫だ。自信持てよ。」

不思議。

ジェームズが言うとなんだか少し勇気が出たみたい。

だけど・・・一生言うことのできない告白。

「そうね。考えておくわ。」

そう言うとジェームズは笑顔で「応援するよ」と言ってくれた。

 

 

 

 

―あぁ、ジェームズ。私はあなたが好きなの―

 

 

 

 

 

「今日はありがとう。忙しかったのに逢ってくれて」

「ううん。僕も合いたかったし。今度、家に遊びにおいでよ。リリーも逢いたがってる。」

「ホント?行ってもいいの?歓迎してくる?(笑)」

「歓迎・・どころか大歓迎するよ」

―ありがとう、ジェームズ。

「お礼を言うことなんてないよ。だって君は僕にとってかけがえのない大切な人だから。
僕にとって欠かせない、なくてはならない存在だから。」

ジェームズのその言葉。

それが例え、ただの親友という意味でも素直に嬉しかった。

 

ジェームズと笑顔で別れた。

ジェームズの後ろ姿を見送りながら思った。

なぜだろう。

昔はジェームズと話すだけで胸が苦しかった。

だけど今は逆に気持ちいい。

すっきりした気分だ。

少し大人になったのかな?

 

明日からまた頑張れそうだ。

 

きっとこの先、ジェームズよりかっこいい人なんで見つからないと思うけど。

それでも幸せになろう。

この先、ジェームズが私を『親友としてかけがえの無い存在』と思ってくれてるように、

私も彼のことをそう思える日がくるといいな。

 

最後に、最後に一言だけ。胸の中でいいから言わせてください。

 

 

―ジェームズ。私はあなたのことが大好きでした。

この私の気持ちのためにもリリーと生まれてくる子のためにも、どうぞ幸せになってください―

 

 

★End★

 

 

★あとがき兼言い訳のコーナー★
もし。私なんかの駄文で「ジェームズとラブラブ〜vv」を期待しっちゃった皆様、謝らせてください。
ごめんなさい(笑)
もうね、私の中で彼はリリーとラブラブの王道カップル!!っていうのが出来上がっちゃってるんで・・・
ほら、裏ドリームでもジェームズさんの浮気でしょ?
ってかこの話の中ではジェームズさんは昔、コーヒーが飲めなかったということになってます。
けどジェームズさん、苦手なものなさそうですよねぇ。
それにしても季節感がまったくない(爆)&萌黄にしては長い文ですね(笑)
あとリリーさんはハリーを何歳で産んだのか、かなり謎ですね。
だれか真相を知ってたら私に教えて欲しいです(切実)

 

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